NECソフトからのアプローチ
NECソフトからのアプローチ
ナレッジマネジメント導入の手順と運用ノウハウ
NECソフトは、IT企業の特質を生かしつつナレッジマネジメント(知識経営)を進めています。本編ではITを用いた部門間コラボレーションにターゲットを絞り、経験に基づいたナレッジマネジメント(KM)導入手順と運用ノウハウを紹介します。
KM導入の手順

NECソフト(株)SEFE推進部
Knowledge Management
推進プロジェクトリーダー
伊藤 武明
ナレッジマネジメントを導入するに当たっては、企業の役割、企業の目指す方向、企業の持つ活かすべき知識、活用する人と組織、それを支える風土や文化によってアプローチは異なってきます。まず必要なことは、トップより権限を委譲された委員会や推進プロジェクトなどがトップの理解を得、企業の役割、企業の目指す方向の分析・検討から始めることです。この委員会員や推進プロジェクト員はトップと問題意識を共有し、自部門の利益を最優先とせず、自部門内を理解しかつ影響力を持つ人たちを幅広く集める必要があります。
プロジェクトではKM導入手順の1番目として、KMに向けた経営戦略の明確化を行い、できるだけ全社員を巻き込んで意見を集め、具体的な目標設定を行います。2番目に行うことはナレッジモデルの開発です。KMをどのようなスタイルで進めるのか、自社にとって必要なナレッジとは何か、知識資産の活用目的は何かなど、KMのタイプを決定しなければなりません。
3番目には、ナレッジの構造化・階層化を行います。すでにどのような知識があるか、具体的にどのような利用形態が想定できるか、ナレッジをどのように構造化すれば登録しやすく、利用しやすいかなどについて検討を進めます。4番目は、KM推進のための組織・役割・責任の明確化を図ります。
5番目は、成果の蓄積とフィードバックについて検討します。KMがどのように利用され、どんな成果を上げたのかについて公表することが必要です。KMの基本は、効果のありそうなことはすぐ行うことです。仕組みの中に施策を組み込み、実施・効果の測定・仕組みの改善が求められます。6番目として、これらの検討を基に適切なコンピュータシステムを選択しなければなりません。1から6番目の施策は相互に関係があるので同時進行がよいとされています。
ナレッジモデルの開発とナレッジの構造化
KMのタイプには、知識資産の活用目的と手段によって、「ベストプラクティス共有型」「専門知ネット型」「知的資本型」「顧客知共有型」の4タイプがあります。NECソフトでは、IT企業の特徴を生かし、SECIモデルの表出化・連結化・内面化に重点を置きコラボレーションによるビジネスの拡大、コスト削減、すなわち「ベストプラクティス共有型」「専門知ネット型」を想定したモデルを構築しました。
「企業ならでは」の強みとして、どれだけの知識を有し、活用しているかが企業の競争優位性を決定的にするので、KMではすでにどのような知識があるかを明確にし、ナレッジの構造化・階層化を図ることが重要なステップとなります。ナレッジの実際の構造化では、すでに社内にある分類方法に準拠して再分類しますが、必ずしも一律な分類で済むとは限らないので多重検索を図れるようにします。
NECソフトのKMパッケージ製品「KnowledgeWorld」のデータ構造は、フォーラムがコンテンツ実態格納域でツリー構造となっており、情報種別が同じコンテンツを別カテゴリで管理し、人情報であるノウフーとリンクしています(図参照)。ノウフーは、人と人とのインフォーマルな暗黙知伝達の関係を作り企業が意識していない弱いシグナルどうしが組み合わさって強いシグナルへ成長し事業創出のもととなります。
KM推進のための役割・責任の明確化
KMの推進では、どこにどんな情報・技術・ノウハウがあるのかを整理し共有していくために体系化した構造が必要であり、これをナレッジマップといいます。ナレッジマップは変更があるのが前提で、必要に応じた変更と変更にマッチしたコンテンツの再編成を随時おこないます。
NECソフトでは、KM Pro(KM-Producer)とKI(Knowledge Integrator)との組織をつくりました。KMProは、幅広くKMの情報を収集し、自社に適したKMを構築するために自社に必要な知識の定義、コンピュータシステムの構築、遂行の仕組みづくり、場の活性化を役割としました。KIは部門や割り当てられたテーマを中心としたKMの推進・維持、部門間のベンチマーキングおよびナレッジの分別とブラッシュアップを行うこととしました。しかしながら、KIがブラッシュアップを行うと暗黙知・思いが欠落し、スピードに遅れるので現在はブラッシュアップを求めていません。
目に見える形でKMを推進していることを認識してもらうためには、コンピュータシステムは必要です。仕組みを随時入れていくと、その仕組みを説明・定着するエネルギーが膨大で、最初から自社の目的に合わせた洗練されたコンピュータシステムを導入することが重要です。
最初の段階である程度のコンテンツを揃えなければなりませんが、どのような方向に持って行くかを考えて集めることが大切です。コンテンツの登録・利用をオープンにするかクローズにするかという点では、基本的にはオープンが良いでしょう。機密といわれる事項を調査しても、ほとんどが機密ではありません。バックグラウンドは広い方が多くの組み合わせができ、新たな知に結びつきやすいといえます。
インセンティブを採用しない企業が多いようです。その理由はコンテンツの質が落ちることと、その後のリバウンドが激しいことと本来の意味である業績向上で測定すればよいと考える企業が多いためです。
活性化の施策と推進のステップ
活性化のためには成功事例がベストであり、利用者によるコンテンツの評価等により成功事例を発見できる仕組みを作るのですがこれだけでは活性化されません。そこで、積極的に利用する人が必ずいるのでこの人たちを増やす、業務プロセスに組込み意識しないで進められるようにする、組織間の競争に持ち込むなどの方策があります。これらの方策を有効に進めるために運用情報を収集・分析・公表すればリテラシーが向上し活性化が図られるでしょう。
適切なコンピュータシステムの選択も重要です。選択の基準としては、想定したKM運用の実現度、登録者や利用者の満足度、運用者の負担、製品と付加サービスの満足度などがポイントになります。
KMを推進する上では、まず利用度のアップが求められます。初期の段階ではめずらしさもあって、急激に利用度が上がりますがこれを持続させなければ次の段階に進みません。次に内容の充実が期待されます。ある程度の利用度が持続できれば利用する側の評価が厳しくなり、登録する側が何が期待されているかが分かってくるので必然的に内容が充実してきます。この時、内容の充実を測定し表現する手段を持つとともに一度離れていった人たちを連れ戻すことを考えます。
最終的には目に見える成果が問われますので測定方法の準備が必要です。これらは推進する上でのプレッシャーと意識し、自分たちの位置を認識しながら効果的に推進を図っていくことが大切です。
知識のある忙しい人から、知識を出させるトップマネジメント、知識を受ける側が積極的に動く仕組み(風土)を作ることが必要です。また必ずしも全員が同じ速度で順応しないので、個々のレベルに応じた対策を常に意識した施策を準備しなければなりません。
いろいろ仕掛ける、知ってもらう、使ってもらう、理解してもらう、シンパを作る、日常の中に組込んでいくなど、細心の注意を払いつつ大胆に進めることが大切です。私どもの経験が各社殿のナレッジマネジメント推進の一助となることを期待しています。
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