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NECソフトからのアプローチ

NECソフトからのアプローチ

バイオインフォマティクスのディファクトになり得る画期的なDB統合ツールを共同開発

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1990年代後半、人間の遺伝子情報を解析するヒトゲノム・プロジェクトの成果が発表された。以来、医学、薬品、食品、環境とバイオインフォマティクスを適用する領域は急速な広がりを見せている。その中で、バイオ/メディカル分野のナレッジマネジメントを支援する最先端情報プラットフォームとして開発されたのが、NECソフトの「SemanticObjects(セマンティックオブジェクツ)」。米国カリフォルニア大学アーバイン校のフィリップ・シュー教授との共同プロジェクトで誕生した、このアプリケーション構築用システムには、専門技術と煩雑な手間、コストが必要だったデータ解析の効率化を強力に推し進める画期的な手法が取り入れられている。

プロフィール

Dr.フィリップ・シュー(Phillip C-y Sheu)

Dr.フィリップ・シュー 1956年生まれ。米国カリフォルニア州アーバイン在住。1986年にCalifornia 大学Berkeley 校卒。Electrical Engineering and ComputerScience 博士号取得。同年、Purdue 大学のSchool of Electrical Engineering 助教授に就任。1989年、Rutgers 大学Electrical andComputer Engineering 準教授、1993年にはCalifornia 大学Irvine 校Electrical Engineering& ComputerScience、Information andComputer Science、Biomedical Engineering教授となり、現在に至る。複合生体システム、ナレッジベース医療、プロアクティブWeb技術、意味論的ソフトウェアエンジニアリング、国防関連の大規模リアルタイムナレッジシステムなどを研究領域に積極的な活動を見せる。著書や論文も多数発表。2002年、IEEE(The Institute of Electrical and ElectronicsEngineers、Inc.:電気電子学会)からフェローを授与される。

世界中に散らばる膨大なDBから必要な情報を探し解析する、データ活用の切り札、登場

 「世界中のバイオ/メディカル分野では、最先端の医療・検査機器や技術がふんだんに使われています。しかし、そこで集められた貴重なデータの解析や、複数DBの連携による分析、実際の研究への活用といった領域は、実はそれほど先進的ではありません。社会やビジネスのインフラに浸透しているITの恩恵を受けていないのです」と、開口一番、今回のプロジェクトの背景でもある業界の問題点を指摘したシュー教授。

 医薬開発や臨床研究などを中心としたバイオ/メディカル分野では、グローバルかつ相互横断的に研究が進展しています。従事する研究者や医療関係者にとって、臨床試験情報や患者情報、来院履歴情報、遺伝子配列…などのまったく異なる複数のDBの中から、必要な情報を集めて解析するデータの効率的な活用が、非常に重要な課題となっています。しかし、DB連携がほとんどされず、多くの人手や時間がかかってしまうのが現状です。加えて、DBにアクセスして情報を検索するには、SQLなどの専用言語や個々のDBの構造といった専門知識・情報が不可欠。つまり、バイオ/メディカル分野で活躍する研究者には、自らの専門領域はもちろん、SEとしての技術やノウハウまでが要求されているのです。そこで、異なるDBからの情報検索と、収集したデータの統合およびその応用を、ITリテラシーがそれほど高くない研究者でも容易に行える環境構築を目的に、シュー教授とNECソフトの共同で、アプリケーション構築用システム「SemanticObjects」(以下SO)が開発されました。

日常使う“言葉”をインターフェースに、誰でも簡単に情報の検索・収集が可能になる

 SOには、SQL言語やDBの知識がなくても扱える画期的なデータ検索技術が盛り込まれています。最大のポイントは、利用者の言語からコンピューター言語への受け渡しに、“COMPOSE言語”というJava言語に親和性が高い独自の中間言語を経由すること。研究者が日常使う研究レベルの言語をSQLなどのITレベルの言語へ翻訳するステップを省略でき、結果的に研究者にとって情報検索が容易に行える環境を構築できます。日常使用している単語はもちろん、自然な文章での検索も可能な上、検索結果も使用したままの単語や文章で表示されるので、SOのユーザーはこれまでより柔軟かつ容易に情報検索を行えます。

 「SOがあれば、研究者は日常使う言葉をインターフェースに、複雑なデータや知識を効率的に管理・運用できます。今までのように、システムやDBに関する専門的なトレーニングを受ける必要はなくなり、その分、自らの研究により集中できるでしょう。1990年代後半から注目されている、分子生物学の成果を最先端の情報処理技術で解析するバイオインフォマティクス(生命情報工学)の世界でも、大きく貢献できそうですね」(シュー教授)。

長年にわたる産学連携の取り組みと実績、そして研究開発への真摯な姿勢が評価される

 今回のSOに関するプロジェクトは、2001年4月にNECソフトがVALWAYテクノロジーセンターを設立以来、国内外の研究機関や大学と共同で研究を進めてきたバイオインフォマティクス分野で、初めて製品としてリリースできた研究成果です。「これまで人類が蓄積してきたバイオ/メディカル分野の膨大なデータを効率的に解析するため、オブジェクト指向でアプローチしたのは、おそらく私が最初でしょう。このアイデアの具現化には、実践的なSIのエンジニアリング・リソースが必要不可欠でした。そこで、長期間にわたるリサーチを厭わず研究を推し進めていく姿勢と資金力を持ち、なおかつオネスティーなパートナーを探していたのです。米国にもいくつか候補がありましたが、ITバブルや.comシンドロームの渦中でもあり、お互い納得できる関係を結べず困っていました。そんなとき、研究仲間からNECソフトを紹介され、率直で正直な話し合いができたのです。上場当時から産学連携で複数の研究テーマを手掛けていたこともあり、“グッド・ヒストリーを築いていけそう”と直感しました」(シュー教授)。

バイオ/メディカル分野のナレッジマネジメントを強力に支援する最先端情報プラットフォームとして

 複数のDBを自然言語に近いボキャブラリーベースで横断的に検索・収集できるSOの導入により、Web環境に統合した多目的なシステムを短期間に構築できます。ユーザーが現在使用している標準的なツール類の統合も可能で、バイオ/メディカル分野のデータ管理を加速させる強力なナレッジベース構築システムとなるでしょう。「将来的にはバイオ/メディカル分野だけでなく、時系列で発生する複合情報を相互に関連づけて分析していく領域にも転用可能。学術的なアプローチが必要な研究領域はもちろん、様々な業種業態のビジネスシーン、さらにはリアルタイムでアプリケーションをサポートする国防の領域にまで活用できるポテンシャルを持っています。次世代のインテリジェント・ソフトウェアの基盤となり得る技術手法として、これからもNECソフトと一緒にじっくりと育てていきたいですね」(シュー教授)。

SemanticObjects®システム概念

SemanticObjectsシステム概念

当面は臨床研究支援ビジネス、特に臨床情報をはじめ各種情報の高度な活用が不可欠なトランスレーショナルリサーチ(医療の基礎的な研究成果を臨床応用することが目的の研究)向けの強力なアプリケーション構築用ツールとして提供されます。また、NECと連携し、SOを既存のバイオソリューション製品と組み合わせ、バイオ/メディカル関連システムの構築につなげていく計画です。

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