NECソフトからのアプローチ
NECソフトからのアプローチ
リアルタイムで人物の属性や行動パターンを解析する次代のマーケティングシステム
人の顔を自動認識し、年齢や性別をリアルタイムで判定する――「人物行動パターン自動解析システム」と名付けられたこの「ナチュラルコンピューティング」を用いた独自の技術は、早稲田大学とNECソフトの研究・開発拠点であるVALWAYテクノロジーセンターとのコラボレーションによって生み出された。既存のインフラに組み込むだけで貴重なマーケティング情報を収集することができるなど、大きな可能性を秘めており、流通業界をはじめ幅広い業界から期待を寄せられている。
戦略的パートナーシップで産学連携を進め、明日のビジネスにつながる最先端応用技術「ナチュラルコンピューティング」を追究

NECソフト株式会社
VALWAYテクノロジーセンター
主任 関根信博
NECソフトでは、2001年4月に設置したVALWAYテクノロジーセンターを中心に、先進技術の開拓によるビジネスインキュベーションを目指し、さまざまなテーマを設けて研究・開発を手掛けています。その中のひとつに、利用者がコンピューターの存在を意識することなく恩恵を受けられる「ナチュラルコンピューティング」の研究・開発があります。「ナチュラルインターフェースでなにかできないかと模索していく中で、“NeoFace”でも成果をあげている“顔”にテーマを絞り込んで挑戦することにしました」と話すのは、同センターの関根信博主任。
2002年4月よりはじまったこのプロジェクトは、早稲田大学の小林哲則教授らとの共同研究により進められ、2003年10月、カメラで撮影された人物の年齢や性別を自動的に認識することに成功。そのプロトタイプが「人物行動パターン自動解析システム」と名付けられたのです。ちなみに、この早稲田大学との共同研究プロジェクトは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「平成14年度大学発事業創出実用化研究開発事業」にも採択されており、数年内の事業化を目標に研究・開発が進められているものです。
大勢の人の年齢や性別を動画データからリアルタイムで自動的に判別する人物行動パターン自動解析システム
人物行動パターン自動解析システムには、不特定多数の人物が映った動画データから、それぞれの年齢・性別などをリアルタイムで認識できるといった特徴的な機能が備えられています。
「研究による成果はビジネスモデル化できることが大前提でしたから、既存のインフラに組み込めるものに仕上げなければなりません。いくら優れた技術でも、運用に新たなデバイスやネットワークが必要になると、それだけ初期投資コストもかさみ、製品化できませんからね。そこで、さまざまな業種業態の店舗内に設置されている防犯カメラのような解像度の低いカメラでも運用できるようアジャストしています」と同センターの金子賢一主任は話します。
その課題解決に向け、「低解像度のカメラで撮った顔の画像データは粗いので、顔画像そのものを1つの特徴パターンとしてとらえたり、また髪型や服装といった要素も活用しながら年齢や性別を推定できるようにするなど工夫しました」(関根主任)と、さまざまな技術的な挑戦が試みられました。
現時点で性別は9割以上、年齢は上下10歳以内で7割程度の判定精度をあげるまでに高められており、実用化までもう一息のレベルにまできています。
実用化に向けた精度向上への取り組みと特定人物の行動パターンまで分析可能な機能拡張への挑戦
「取得した画像データから年齢や性別を判定するためには、比較する顔のモデルが必要です。そのモデル作りが想像以上に大変でした。今のところ6,000人分の撮影データからモデル作りを行っていますが、実用化レベルにまで精度を高めるためには、子どもから高齢者まで幅広くかつ十分なサンプル量のデータベースを仕上げる必要があります」と同センターの植木一也氏が分析するように、実用化に向けた機能拡張は着々と進められています。
それと並行して「店舗内の人の動きをトレースして自動的に顧客の動線をチェックし、行動パターンを収集できるようにもしています」とコメントを寄せる同センターの今泉聡氏。このように人物行動パターン自動解析システムの技術応用に向けた取り組みも行われています。
単に人物の年齢や性別を判定するだけでなく、その名の通り人物の行動パターンまで把握できる――このシステムが流通業界をはじめ各方面から注目される理由は、まさにこの部分にあるのです。
リアルタイムマーケティングシステムへの応用をはじめ広範囲にひろがる新しいビジネスの可能性
人物行動パターン自動解析システムは、デパートやコンビニエンスストアに設置されたカメラなど、店内を監視する既存のインフラと融合することで、リアルタイムマーケティングシステムへの応用が可能です。「現在は専門スタッフによる目視やPOSレジでの手入力が主な市場調査の方法ですが、POSレジによる情報収集では“どんな人に売れた”という情報しか収集できません。一方、人物行動パターン自動解析システムでは、商品を買わなかった顧客の動きまで把握できます。その収集データを活かし、例えば店内に設置したディスプレイと連動させれば、効果的なCMをリアルタイムで配信できるようにもアレンジできます。客層と行動パターンにダイレクトにマッチングする新たなマーケティング活動手法も創出できるでしょう」(関根主任)。
このほかにも、各種自販機との連動による顧客計測、博物館などでの自動解説、アミューズメント施設での迷子探しなど、年齢や性別から人の動きまで自動解析する人物行動パターン自動解析システムを活用できるフィールドは、広範囲な領域におよびます。
同センターでは昨年末からさまざまなイベントや展示会で人物行動パターン自動解析システムのデモンストレーションを実施。流通業界や光学系メーカー、エンターテイメント系企業を中心に、来場者から想像以上の反応を得ており、そのデモンストレーションの様子はテレビ番組でも紹介されています。その手応えを励みに、判定精度を実用化レベルまで向上させるため、引き続き研究・開発が進められています。
今回のプロジェクトに携わった主要メンバー
関根主任を中心に右から金子賢一主任、植木一也氏、今泉聡氏。将来的には音声認証の技術と連動させ、口頭で指示を出せば、収集した顔の判定データから、その人の年齢や性別にピッタリなサービスを提供してくれる仕組みにも応用するなど、よりナチュラルインターフェースの環境を向上させていく計画もある。
人物行動パターン自動解析システム

現状ではコンビニエンスストアなどの店舗に足を運ぶ不特定多数の人の中から、髪形や服装、体格といった判定要素で年齢と性別を自動的に推定し、リアルタイムで分析情報を入手することができます。判定精度の向上と行動パターンの自動解析が実現すれば高精度なデータ収集が可能になり、広範囲な領域に応用できるのはもちろん、大幅なコスト削減や業務の効率化も促すソリューションとなるでしょう。
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