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NECソフトからのアプローチ

NECソフトからのアプローチ

グリッドコンピューティングが紡ぐ未来。遺伝子解析技術が語りかけるもの

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生命科学に情報科学、情報工学を融合させ、ゲノム解析などの研究を進める学問領域、バイオインフォマティクス。この世界では、近年、遺伝子やタンパク質の配列データの構造解析手法が急激に発展したことで、扱う情報量が爆発的な増加傾向にあり、従来の分析や検索方法では膨大な処理時間がかかるという問題が起こっている。その解決策として注目を集めているのが、グリッドコンピューティング。NECソフトのR&D拠点であるVALWAYテクノロジーセンターは、グリッドコンピューティング技術をバイオインフォマティクス領域に適応させ、ライフサイエンス関連の研究を効率化する試みに取り組み始めた。

バイオインフォマティクスのNECソフトがグリッドコンピューティングでJBIRCと連携

社団法人バイオ産業情報化コンソーシアム生物情報解析研究センター統合データベース解析グループ遺伝子多様性解析チーム 竹村亮氏
社団法人バイオ産業情報化コンソーシアム
生物情報解析研究センター
統合データベース解析グループ
遺伝子多様性解析チーム竹村亮氏
(VALWAYテクノロジーセンターより
NECを通じて出向中)

 NECソフトでは、VALWAYテクノロジーセンター(2001年4月設置)を中心に、先進技術の開拓によるビジネスインキュベーションを目指し、さまざまなテーマで研究・開発を手掛けています。

 その中のひとつに、遺伝子などの構造解析・機能解明の分野における「バイオインフォマティクス」の研究・開発があり、特にポストゲノムで注目されるタンパク質の構造や機能を分析・解明・予測する技術の確立に注力しています。

 「健康や医療などの分野では、近年、バイオテクノロジーによる予防・診断・治療の技術開発競争が激化しています。その中で、研究から得られた遺伝子やタンパク質などの膨大なデータをどのように扱い、活用していくかという課題が持ち上がっていました。その解決に向けたアプローチのひとつとして、私たちはグリッドコンピューティングに着目。IT技術を活かしたソリューションとしてまとめているところです」と話すのは、VALWAYテクノロジーセンターの関口和正研究開発マネージャー。

 10数年前からNECの基礎研究所などとの共同開発でCCS※1分野での技術蓄積もあり、「バイオインフォマティクス」はNECソフトの得意分野のひとつとして、積極的に研究開発を推し進めてきた領域。それを裏付けるように、昨年度から実施されたバイオインフォマティクス技術者検定試験では、15名という大量の合格者を出しています。

 (社)バイオ産業情報化コンソーシアムと独立行政法人産業技術総合研究所が共同で設立した生物情報解析研究センター(JBIRC)は、2001年に設立された国内のポスト・ゲノムシークエンス研究の中核的な拠点。遺伝子やタンパク質の機能研究を中心に、バイオテクノロジーと産業の橋渡し役を担っています。そして、このたび「従来からの研究効率を劇的に高めるグリッドコンピューティングシステム」(関口研究開発マネージャー)をJBIRCに導入するに至りました。

SNPの研究で大量のデータを短時間に効率良く処理するための試み

 「ヒトゲノムの解析が進んだ現在、バイオインフォマティクスによって、既知/未知の遺伝子構造や機能解析が活発化しています。中でも、注目を集めるのが、1塩基置換による遺伝子の多型性(SNP)。ヒトの染色体の塩基配列が一人ひとり違うという事実を基に、遺伝子と疾病や薬の効果・副作用などの関連性を探っていく研究です。その現場で、大量のデータを短時間に効率良く処理することが、最大のテーマでした」と語る、総合データベース解析グループの遺伝子多様性解析チームの一員として研究にあたる竹村亮氏(VALWAYテクノロジーセンターよりNECを通じてJBIRCに出向)。

 遺伝子やタンパク質などの膨大なデータ解析には、非常に多くの計算処理パワーを必要とします。そこで、従来はスーパーコンピューターを中心とした大規模計算システムに頼らざるを得ませんでした。しかし、コストが膨大という問題があります。そこで、CPUやストレージ性能が向上している安価なパソコンでPCクラスタシステム※2を構築し、スーパーコンピューター並みの能力を低コストで実現する試みが急速に進められています。

 JBIRCでも、2002年より16CPUと300ギガバイトのストレージを活用したNEC製のPCクラスタシステムを導入。2003年には48CPUをシステムに追加導入し、研究環境の向上に努めていました。「そのおかげで、遺伝子やタンパク質などの解析が劇的に進行したのですが、併せて研究対象も大きく広がり、『もっと速く、大量に計算処理できる環境がほしい』という現場のニーズも高まりました。加えて、従来の研究システムでは、『コマンドインターフェースでの操作が難しすぎる』『出力結果が何を意味しているのかわからない』といった研究者からの指摘もありました」(竹村氏)。

 そういったいくつもの課題を受け、NECソフトでは根本的な解消を目指し、グリッドコンピューティングの手法によるソリューションを提案したのです。

既存リソースを有効活用し、スループットを最大限に引き出すベストソリューション

 「現有リソースの有効活用を前提に、2つのPCクラスタシステムをグリッドコンピューティングで1つの仮想システムに統合。大量ジョブ(計算処理)の高速処理を実現するため、NECソフトが独自開発したグリッドコンピューティングシステム全体のジョブを管理するメタ・スケジューラと、個々のPCクラスタシステム上のジョブを管理する既存のローカル・スケジューラを組み合わせた計算システムを実現。これらのスケジューラが、投入されたジョブを実行するリソースを自動的に割り当てることにより、システム全体の負荷バランスの均等化を図りスループットを向上させるシステムを構築しました」(関口研究開発マネージャー)。

 それにより処理速度の向上をはじめ、複数の大量データの並行処理が可能になり、「解析アルゴリズムの開発効率が飛躍的に向上した」(竹村氏)との成果が得られました。

 さらに、「各ツールの実行や結果表示、システム管理機能などをWebブラウザから操作できるインターフェースも実装。研究用途に応じ、Web画面をカスタマイズすることも可能」(関口研究開発マネージャー)にし、PCに不慣れな研究者にも利用しやすい環境を提供しています。

 この新しいグリッドコンピューティングシステムは、2005年4月に導入され、JBIRCの研究開発を強力に支えています。今後は、NECソフトのバイオインフォマティクス向けソリューションにおける高速計算基盤として、メタ・スケジューラを核としたグリッドコンピューティング技術を提供していきます。

JBIRCの竹村亮氏とVALWAYテクノロジーセンターの関口和正研究開発マネージャー

国内のポスト・ゲノムシークエンス研究を牽引する研究現場で協業するJBIRCの竹村亮氏(右)とVALWAYテクノロジーセンターの関口和正研究開発マネージャー(左)。今回の実績をドライビング・フォースに、今後は分子動力学シミュレーションなどの他のサイエンス系はもちろん、衝撃解析や構造解析といった産業分野でのアプリケーションへの活用など、ビジネス・ベースでの展開も視野に入れている。


JBIRCに導入されたグリッドコンピューティングシステム

JBIRCに導入されたグリッドコンピューティングシステム


※1 CCS
Computer Chemistry Systemの略。遺伝子やバイオテクノロジー、医薬をはじめ幅広い領域の化学技術の応用分野で研究開発を支援するシステムのこと。
※2 PCクラスタシステム
複数のPCをネットワーク結合して単一で稼動するコンピューター群を構築し、並列か分散処理によりひとつの計算資源として使用できるシステムのこと。

●本プロジェクトは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の援助によって行われています。

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