ピックアップテーマ
ピックアップテーマ
デジタル化オフィスへの第一歩 ― ワークフローによる業務改革
21世紀に入って経営環境の好転が望まれる中で、企業経営ではスピード経営、競争力の向上、コスト削減などの一層の努力が欠かせません。これらの効果を実現するための手段として、業務プロセスの改善とともにワークフローシステムがますます注目されています。
ここでは、ワークフローがどのような状況にあるのか、コンサルタントの立場から解明します。
囲い込み型経営からオープン型経営へ

株式会社 日本能率協会コンサルティング
生産革新事業部チーフ・コンサルタント
高橋 淳 様
ペーパーレスオフィスの概念を突き詰めると、デジタル化オフィスとなります。紙がなくなるとは、オフィスの仕事のあり方がデジタル化するということとしてとらえられます。デジタル化オフィスは、“E-BUSINESSのために高度に武装化・自動化された情報処理工場”といえます。デジタル化オフィスには、“知識労働のための武装化された支援環境”というもう一つの側面もあります。
こうしたことを進めていくうえでは、ワークフローが重要な手段になっていくことはいうまでもありません。それでは、デジタル化オフィスがなぜ必要なのでしょうか。それは、オフィスのデジタル化を進めていくべき急激な経営環境の変化が起こっているからです。
ビジネスモデルの観点からいうと、従来の囲い込み型の経営パラダイムが限界にあり、オープン型経営スタイルへと成長モデルが変化してきているといえます。囲い込み型ビジネスモデルは、何でも自分のところに抱え込み、自分の思い通りにできるように効率的なビジネスの仕組みを作ろうとするものです。ところが、資産が負債となり、持たない経営の方が競争優位のビジネスモデルを形成するようになりました。
これから生き残れる競争優位企業は、企業と協力者がWin‐Winの関係にあり、従来のように1人が得をすれば残りの1人は損をするというゼロサムゲームではないことです。そのためには、外部とのコラボレーションに対して積極的な、開かれたビジネスとしてパッケージされていなければなりません。
また、ビジネス上のプロトコルやインターネット/エクストラネットとのインターフェースが確立されていることが大切です。さらには、ネットワークとプロセスが統合され、同期性やスピードが確保されているといった条件が満たされる必要があります。要するに、オフィスにおいてデジタル一貫処理が実現されていることが競争優位を実現するための必要条件となってきたのです。
1990年代末に日本に紹介されたSCMは、日本では主に単独企業における需要予測などの面で活用されてきました。
しかし、予測はあくまで予測であり、急激に変化する事象や突発的に発生する例外事項を読み取ることはできません。また、初期SCMにおけるバッチ処理的な対応では、刻々と変化する経営環境に敏速に応じることも不可能です。ましてや、グローバル化の大きな波は、一企業内における情報統一や単体のERPシステムの導入のみではとうてい乗り切れるものではないのです。
データ一貫処理の実現へ向けて
新しいビジネスモデルの中での実務上の大きな変化は取引コストが低下してくることです。すなわち顧客に対する手続処理や取引調整にかかる手間と費用が決定的に圧縮されるからです。これは、本質的には要求発生源である顧客へその手間を転嫁していくことですが、店売り業態との競争、BtoCモデル間の競争など構造的な価格低下圧力により、価格競争が避けられないものとなります。
企業は、自分たちのコストが顧客に転嫁され、自動化されることによって低減されることがあったとしても、コストダウン効果を市場に対して還元していかざるを得ません。つまり、BtoCの取引が電子化されると同時に、企業内部の取引が完全にデジタル化されるところまで結びつかないと本当のメリットは出てこないのです。
社内の手続がデジタル処理されているのは、企業の内部努力におけるコストダウンです。そういうビジネスプロセスを作り込んだ企業は、BtoCから入って顧客の注文をデジタルデータとして受け取り、社内の手続も一貫してデジタル処理が行われるわけです。
デジタル化の基盤ができると、社外や顧客との取引費用の極小化、社内での調整費用の極小化が可能になります。従来の囲い込み型ビジネスモデルよりも効率的な仕組みとなって生まれ変わる条件が、結局デジタル一貫処理を実現することだといえます。

デジタル一貫処理を目指す業務改革
従いまして囲い込み型経営からオープン型経営に変わっていくときには、従来のような業務改善の考え方から、ねらいを切り替えていく必要があります。これからの業務改革として、例えば外部組織との協業のための業務の構造化や標準化が必要となります。そのためには、デジタル一貫処理への挑戦が、今後の業務改革の位置づけとして必要になるのです。
インターネットのプラットフォームを通じて、顧客がアナログで持っているニーズをデジタルとして取得することができるようになってきました。しかし、デジタル化された受注情報が社内の業務に適用されたときに、またアナログに戻るとか、アナログに戻してさらにデジタルに変換するということが行われると極めて非効率です。デジタル化された受注情報は、社内の業務処理でもデジタル一貫処理されるのが最も良いのはいうまでもありません。
ところでデジタル化への技術的なアプローチとしては、アプリケーションによる順次プロセス処理の作り込みと、データウェアハウスとオブジェクト処理の組み合せという2つの考え方があります。前者は、アプリケーション別にデータベースを持ち、必要なデータをそのつど参照しながら処理手順を完全に作り込むという方法です。イントラネットやエクストラネットで重視されてきているのが、2つめのオブジェクト処理型のテクノロジーです。あるデータが存在するときに、それに対してどう処理するかをセットにして、そのつど処理していくという考え方です。
デジタル化への3つめのアプローチがデータウェアハウスとワークフロー・ツールを組み合せた方法です。ある処理に対して、次の相手に新しい処理を要求するメーリングと、処理手順の指示を同時に流していき、決まった仕事の流れを実現しようというものです。この方法のメリットは、変化に対して再構築が容易なことです。
ワークフローという概念には、実はワークフロー・オートメーションとワークフロー・マネジメントの2種類があると考えています。これから重要になるのは後者のワークフロー・マネジメントの考え方です。ワークフロー・マネジメントは、ワークフローという観点から、企業のマネジメントのムダを省き、かつ効率的なマネジメントを行うための仕組みを再構築するということです。仕組みを作っていく中で、管理者の役割の明確化、プロセス上のチェックポイントの設定、組織体制の確立といったメリットを追求することなどが可能になってきます。
オフィスワークのマネジメント体制を構築するには、業務改革の完全サイクルの仕組みを仕事の流れの中に埋め込むことが大切です。現状の測定、分析、改善設計、実施・運用、定着というサイクルを作り、定着の結果をさらに測定し、再改善を図っていきます。これは、マネジメントの理念そのものです。
その前提になるのがデジタル化オフィスのコンセプトの追求です。ワークフローの業務の効率化も重要です。しかし同時に、マネジメントを良くする観点からワークフローを改革していくことが必要なのです。
- ※本ページに記載されている情報は掲載時におけるものであり、閲覧される時 点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。










