ピックアップテーマ
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プロセッサーのハイパフォーマンスを引き出すLinux
優れた柔軟性と安定性、そして何よりもコストパフォーマンスにおいて優位性を発揮するLinux。当初インターネットサーバーとして有効性が注目されたLinuxの活用分野が急速に広がりつつあります。クラスター、アプライアンスなどへと広がり、今後期待されるのが大規模なデータベースといったミッションクリティカルな企業の基幹業務分野です。また、オープンソースの活用によりユーザー環境にマッチさせて効率の良いシステム作りを可能とするのも魅力のひとつ。一方で変化への迅速な対応と卓越した技術力が問われる実力本位の世界です。ユーザーの目的次第であらゆる応用が可能なLinuxは、今後加速度的にプログラム開発が進んでいくでしょう。一層手軽に活用されるようになり、そして着実に浸透しつつあるLinux Solutionの背景を探ります。
Linuxを基幹業務のバックエンドサーバー領域へも適用

インテル株式会社
e-マーケティング本部
エンタープライズ
プラットフォーム
マーケティング部
プログラムマネージャー
小薗井 康志 様
まずここではサーバーをフロントエンド、中間層、バックエンドの3つの領域に分けて考えてみます。フロントエンドはWebサーバーやメールサーバーであり、中間層はアプリケーションサーバー、バックエンドが大規模なデータベースサーバーなどです。インテルは各ブロックにおいてそのセグメントで要求されるスペックにあったCPU製品群を提供しています(図「エンタープライズのバックエンド領域へ広がるLinux」参照)。
現在のLinuxの活用は、フロントエンドのWebサーバーから中間層に及び、その有効性、パフォーマンスは定評のあるものとなっています。このOSとして優れた実用性を持つLinuxを企業の基幹業務向けのバックエンド領域でもソリューションを展開できるようにしていこうというのが、業界の流れであり、インテルは業界と一体となってその支援をしています。
インテルでは、Linuxコミュニティーに対して、Linux自体をバックエンドの大規模システムで使えるようにItaniumTMプロセッサー(64ビットのインテル・アーキテクチャー・プロセッサー)対応にすることや、スケーラビリティーを満たしたOSにすることなどのサポートを行ってきました。コミュニティーや各企業とItaniumTMプロセッサー対応プロジェクトとして「Trillium project」を立上げ、インテルとして開発のためのシステムを提供したり、エンジニアの派遣なども行って成果を得ています。OSとしてItaniumTMプロセッサーへの正式対応が最も早かったのがLinuxでした。
さらにLinuxをバックエンド領域でも最適なOSにしていく動きを加速させようと、いまインテルが力を入れているのがOSDL(Open Source Development Lab)です。これは2000年8月にインテルをはじめワールドワイドの業界リーダー企業により米国で設立されたもので、オープンソースのコミュニティーによって開発される既存のプロジェクト、あるいは新しいプロジェクトをサポートし、エンタープライズ向け機能の検証を行うものです。2001年1月に米国オレゴン州に無償で利用できる大規模な検証施設を設置しました。
OSDLにはスポンサーおよびコントリビューターとしてメーカー19社が参加しており、日本からもNECをはじめ5社が名を連ねています。サポートするプロジェクトは、ツールの開発から、基幹業務向けにエンタープライズ機能を強化させるカーネルのプロジェクトまでをカバーしています。Linuxを企業のミッションクリティカルなバックエンドの大規模システムに適用できるように、信頼性や拡張性の高い開発環境をオープンソースコミュニティーの開発者に提供しようというのがOSDLのねらいです。

コミュニティーがパフォーマンスを検証できる場
これまでLinuxなどのコミュニティーでは、パソコンや大きくても2-wayのサーバーなど自分たちの限られたマシン環境でしか検証が行えないのが現状でした。それでは規模が大きい複雑なエンタープライズシステムに耐えられるかなど、実装されたものの検証が十分に行われたとはいえないわけです。
OSDLのラボでは、8-way、16-wayまでのいろいろなシステムが揃い、コミュニティーの人たちが自分たちの開発したものをインストールして負荷テストを行ったり、一定のスピードでどれだけ性能を出すことができるかなどを自由に検証し、改良することができます。
コミュニティーには広い意味のユーザー会もあれば、メーカー同士で行っている集まりもあります。OSだけではなく、ユーティリティーやアプリケーションソフトを作るプロジェクトもあります。どのコミュニティーであってもオープンソースのソフトウェアであれば、カーネルもデータベースも含めすべて無料でOSDLの施設を使用できます。いろいろなコミュニティーの人たちに、エンタープライズのハードウェアを使用して簡単に検証できる場をみんなで作ろうという形になっています。
米国オレゴン州のラボに続いて、第2のラボを日本の東京近郊にエンタープライズ級のシステムが入る施設として12月にも設置する計画です。米国のラボと日本のラボとがインターネット上の仮想研究施設として結ばれるようにします。日本のコミュニティーもどんどん参加して、エンタープライズシステムに対するモチベーションを上げてもらいたいと思います。日本で計画中のプロジェクトには、IPv6、Score、Namazu、PostgreSQL、Cerevezaなどがあり、Enhydraも入れていきたいと考えています。
中立の立場からインテルがサポート
インテルがソフトウェア環境に対して考えているのは、コンピューター産業の構造を横割りにしてドライブしていこうということです。1970年代や1980年代では、1つのメーカーがハードウェアからOS、ソフトウェアまでを全部1つでまとめようとしていました。ですからプロジェクトを組むと、全部1つのメーカーによるものだったりしたわけです。
このような縦割り構造では、1つのメーカーを選ぶと何から何までがそのメーカーのものに握られてしまいます。ソリューションを行うのに制約があり、eビジネスの展開に弊害が出たりします。
インテルが進めようとしている方向は、ハードウェアやプラットフォームにいろいろなメーカーがあり、その上にまたOSとしていろいろあり、さらにその上にアプリケーションとしていろいろあるという姿です。そうするとそれぞれのセグメントの中で競争が起きるため、エンドユーザーはeビジネスを行う上でブロックごとに最適なものを選ぶことができます。
エンドユーザーにとっては特定のOSを使うことが目的ではなく、目的はあくまでeビジネスを最適に展開することです。ソリューションをサポートするためのミドルウェアは、OSを含めて選択肢が多ければ多いほど、エンドユーザーにとっては自由度が上がります。このような横割りの産業構造の中で、それぞれのOSがインテルプラットフォームで最適に動くことができるようにしていこうというのがインテルの考えです。ですから商用OSと同じようにLinuxが基幹の大規模システムの領域でも最適なソリューションを展開できるようにサポートしているわけです。ニュートラルな立場を作れるのはインテルだからこそだと考えています。
コミュニティーのパワーを最大限に生かす
コミュニティーの人たちは、自分たちの興味本位でどんどん前に進んでいくことに大きなパワーを秘めています。しかしコミュニティーだけでは限界があり、そこにインテルやメーカーがサポートすることで活動が加速され、最適化され、開発も早まっていきます。
インテルはItaniumTMプロセッサーのプロジェクトで、コミュニティーとメーカーとが共同で開発を進めて成功を収めました。その成果をカーネルだけでなく、データベースやアプリケーションなども含めてプラットフォーム全体に広げていこうというのがOSDLです。コミュニティーの開発力やエネルギーをうまくバックエンドに導いていけるようにし、大きなシステムでもより良いパフォーマンスを得られるようにしたいと考えています。
OSDLでは、2002年までにLinuxをミッションクリティカルな領域に対応できるようにサポートを続けます。順調に成果が得られると、2002年にはインテル・アーキテクチャーのもとでLinuxを使ったバックエンド基幹サーバーによる、ハイパフォーマンスな業務システムを運用することができます。その結果によって、Linuxをさらに進化させるためのまた新しい高度な目標が生まれるでしょう。

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