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“SCEM”による情報の可視化がサプライチェーンを改革する

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必要なものを必要なところへ必要なだけ届ける。これは企業にとって、物流やSCM(Supply Chain Management)における使命です。しかし現実には、必要な情報が不在のまま見込みだけで物流が動いていたり、大きなムダが生じていたりすることも確かです。このような現状の中で物流改革が企業戦略の生命線であると意識されるようになり、ITの活用によって物流の効率化やコスト削減、在庫リスクの軽減などを図っていくことが不可欠となってきました。SCMがますます注目される中で、SCM内で発生するすべての情報をイベントとして捉えて、サプライチェーン内のイベントを統合的に管理する状況適応型のSCMとして、SCEM(Supply Chain Event Management)がクローズアップされてきています。

プロフィール

日本電気株式会社
SCMロジステイクスエキスパート
三谷成二

1977年日本電気(株)入社。以来ロジスティクス関連のコンサルティング、システム開発などに従事。現在はサプライチェーン・ロジスティクス関連のエキスパートとしてコンサルティング、新規ソリューションの企画・開発に携わる。2003年2月にはSCEMを詳細に解説した『サプライチェーン・イベント・マネジメントSCEMの実際』(NECメディアプロダクツ刊)を執筆、関係方面から大きな注目を集めている。

従来のSCMでは時代は切り開けない

日本電気株式会社 SCMロジステイクスエキスパート 三谷 成二 様
日本電気株式会社
SCMロジステイクスエキスパート
(NEC Certified Professional:
SCMロジスティクス・
ビジネスコーディネータ)
三谷 成二 様

 現在の企業は、日々ダイナミックに変化し続ける経済環境と、ますます多面的かつ複雑になっていくグローバル化という海の中を懸命に航海しています。そして、それぞれの企業はいろいろな経営手法、ツールを取り入れ、航海をより安全で的確なものにしようと努力しています。物と情報の流れを統合的に管理し、ひとつの業務にかかわる複数の企業が資源や情報を共有し、市場変化に敏速に対応しようという考え方から生まれたSCM(Supply Chain Management)もそんな手法・ツールのひとつです。

 1990年代末に日本に紹介されたSCMは、日本では主に単独企業における需要予測などの面で活用されてきました。しかし、予測はあくまで予測であり、急激に変化する事象や突発的に発生する例外事項を読み取ることはできません。また、初期SCMにおけるバッチ処理的な対応では、刻々と変化する経営環境に敏速に応じることも不可能です。ましてや、グローバル化の大きな波は、一企業内における情報統一や単体のERPシステムの導入のみではとうてい乗り切れるものではないのです。

複数の企業がひとつの器から情報を汲み取れるシステム

 これまでのSCMを“静的”なSCMだとするならば、これからの企業は“動的”なSCMを手にしなければなりません。この“動的”なSCMは SCEM(Supply Chain Event Management)と呼ばれます。SCEMを一言で言うならば、部材の調達から生産、在庫管理、輸送、需要予測までひとつの製品を世に送り出すまでに発生する情報(イベント)をシンプル化し、それをその業務に関わるすべての企業・人に対して一目でわかる形で提供し、情報を受けた側が迅速かつ的確に、そして連携しながら情報に対処できる仕組みといえます。

 ここでの仕組みづくりのポイントは、「情報の可視化」です。情報の可視化とは、企業や組織ごとに異なったシステム体系や部品コードなどが混在する状態を整理し、システムに介在する情報に整合性を与え、共通の認識の上に立った情報に組み立て直すこと、そして誰でもいつでも取り出せる共通の“器”(これはSCM-HUBと呼ばれます)を作ることです。

基盤整備とコラボレーションのルール作りが課題

 アメリカでは2000年中頃からツールとしてのSCEMソフトウェアが徐々に登場しはじめました。日本でもアメリカでの成功事例が紹介され、最近では導入を検討する企業も増えています。アメリカで生まれたロジスティクス革新の手法・ツールであるSCEMは、過去のさまざまな手法・ツールと同様に、日本では定着しないのではないかと危惧する声も確かにあります。

 しかし、現状のSCEMを考えると、国内のみでの展開よりも、グローバルな展開においてこそ有力なツールであると思います。グローバルな展開では日本独特の商慣習が入り込む余地はあまりありません。また、日本でも従来の商慣習や規制が崩壊しつつあり、その点での心配はあまりないと考えます。

 ただ、SCEMの導入を考える前に越えなければいけないハードルが確かに存在します。先ほど述べたように企業間の異なったシステムをいかに整合させ、バラバラなコード体系をいかに標準化するかという問題だけでなく、海外の企業とコラボレーションを図る場合には、その国の政情やIT基盤の進展具合、法律との関係など、事前に検討しておかなければならない問題も多々あります。

 さらに、SCEMをより効率的に運用するためには情報=イベントをいかにリアルタイムの形態で皆が取得できるかが成功・不成功の分かれ目になります。この点についてはRFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれるICタグを車載・舶載される製品に付け、発着のポイントとなる場所に読み取り機を設置し、製品が通過した時点で自動的にステータスを読み込むなどの機器が期待を集めています。まだ複数の周波数帯に対応できない、コストが高いなどの問題があり、十分に活用されるまでに至っていないものの、こうした基盤技術の普及が進めば、SCEMはより実用性の高いツールになることは確かです。

 ただ、ツールですべてが解決するわけではありません。アメリカにおいていち早くSCEMを導入し成功している企業のほとんどは、ただSCEMツールを導入したから成功したわけではなく、前提としてしっかりした戦略、ゴールを見極めたシナリオ作りをしてから導入し、結果として成功を収めているのです。

scem

※1
OMCSトータルサービス現在の情報システムには、従来以上の安全性や信頼性が求められるとともに、激しい変化に対応できるスピードや拡張性が重要になっている。NECはこうした企業システムの時代的要求に応えるため、24時間365日止まらない堅牢性を備え、市場環境や事業内容、組織の変化に応じてスピーディにオープンミッションクリティカルシステム(OMCS)を構築・拡張できる「柔軟性」を併せ持つソリューションとしてOMCSトータルサービスを提唱し、SIの視点を絡めてのツールの提供を行っている。

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