対談・座談会
対談・座談会
変質する産業界でNECソフトがすべきこと
個人情報保護法の施行を来年に控え、今、産業界全体が新たな波に直面しようとしている。プライバシーマークの取得や、ITシステムのセキュリティー強化、加えて食品流通や電子部品調達等でも脚光を浴びているトレーサビリティー(生産履歴管理システム)など、ビジネスの“新しい基準”がまさに生まれようとしているのだ。
この流れは大企業ばかりではなく、中堅企業も含めすべての企業をも包み込む。この状況下でシステム・インテグレーションから、総合的なビジネス・ソリューションへの変貌をはじめたNECソフトがすべきことは何か。
業界の現状とビジネス展望について、情報化による社会変革に精通している中島洋国際大学主幹研究員と、NECソフト工藤秀憲常務に語ってもらった。
- プロフィール
国際大学(グローコム)
主幹研究員
中島 洋1947年生まれ。東京大学大学院(倫理学)修士終了。1973年日本経済新聞社入社。産業部で2年にわたり、ハイテク分野、総合商社、企業経営問題などを担当。1988年から編集委員。この間、日経マグロウヒル社(現日経BP社)に出向し、日経コンピュータ、日経パソコンの創刊に参加した。1997年~2002年慶応義塾大学教授(大学院政策・メディア研究科特別研究担当)。現在、国際大学(グローコム)主幹研究員、日経BP社編集委員などを兼務。
激動を奔る─伝説の営業マンからのメッセージ─
高柳 肇 著 中島 洋 編 日経BP社
日本IBM時代「伝説の営業マン」として輝かしい実績を上げた後、日本タンデムコンピューターズで、「高柳軍団」と呼ばれる営業部隊を指揮。コンパック日本法人、HP(ヒューレット・パッカード)日本法人などの社長も歴任した高柳肇氏のビジネス半生記を、20年以上の知己である中島洋氏が編集。営業と経営に関する「高柳語録」は興味深い。NECソフト株式会社
執行役員常務
工藤 秀憲1947年生まれ。九州大学理学部卒業。
1970年日本電気株式会社入社。
1996年4月同社第4C&C システム事業本部 製造業システム開発本部長
2001年4月同社NECソリューションズ 第三システム事業本部長
2003年4月同社システム・サービス事業本部長
2004年6月NECソフト株式会社 執行役員常務
飛び出せ日本人!日・米・中国人のビジネスと生き方
-IT産業に生きる3カ国人の比較と考察-
工藤 秀憲 著 インターネット販売
これまでの海外事業経験から得た知識をベースに、IT産業に生きるマネジメント層から担当者までのビジネスへの取り組み方、生き方の違いについて3カ国人を比較し、日本人の進むべき方向を提言。
個人情報保護法の施行を間近に控え変わり始める産業構造
- 中島:
今、情報システムが抱える大きな課題のひとつに個人情報保護があります。2005年4月に個人情報保護法が施行されれば、個人情報を取り扱う企業にさらに重大な責任がかかってくるでしょう。このほかにもネットワークのトレーサビリティーなど、避けては通れない、新しい産業構造が生まれようとしています。
- 工藤:
新しい産業界に貢献するITシステムの存在というのは非常に重要です。ですから私たちも業種・業務ソリューションを極めて大切に考えているのです。例えば、ERPをとってみても欧米の企業では社員の流動性を前提に、パッケージ化されたシステムに業務を合わせています。しかし、日本では個別システムで標準システムとはなっていない。だからこそ私たちは各企業の業種・業務を熟知し、お客様以上の業務ノウハウを提供することが必要となっているわけです。
- 中島:
新しい産業の姿を目前にして今こそソリューションをきちんとできる“ベンダーの力”が問われる時代ですね。
- 工藤:
私たちは大きく二つの方向性に着目しています。まず一点目は今後情報システムが標準的パッケージ路線に向かうであろうということ。先ほどお話があったような時代のニーズに応える業務ソリューションパッケージです。NECソフトが持つ建設(建設アシスタント)、ホテル(NEHOPS‐EE)、医療(PC‐Lacs)、自治体(Yoyacky)をはじめ個別業界のITシステムに関する豊富なノウハウが生きてきます。
- 中島:
もうひとつの視点とはなんですか。。
- 工藤:
それはテクノロジーの視点です。ユビキタス時代の本格化と共にセキュリティーの必然性は高まる一方です。私たちは以前からセキュリティーの重要性を痛感しており、独自の研究開発を進めてセキュリティー関連製品の提供やバイオメトリクス技術の有効活用を進めてきました。「IT's VALWAY」誌上でも14号はセキュリティーを、15号ではバイオメトリクスを特集しました。そうしたテクノロジーを業種・業務ノウハウに活かせることや、高いプロジェクトマネジメント力を有することがNECソフトの強みだと思っています。
セキュリティーやトレーサビリティー・システムは、今後の企業間取引の絶対条件に
- 工藤:
冒頭に先生がおっしゃったトレーサビリティーについても私たちはすでに取り組んでいます。BSE騒動で脚光を浴びましたが、トレーサビリティー自体はもともと医薬業界で活用され、今や食品流通においても必須になっています。今後は自動車部品など製品や部品などの分野にも広がってくると思います。
- 中島:
「トレースなんて自分のところには関係ない」と思っている中堅企業があるかもしれません。しかし企業の連携で流通や製造が成り立っている以上、安心や安全を確保するためには、その仕事に関わるすべての企業がトレーサビリティー・システムを持たなければ意味がありません。こうしたシステムを持たない企業は、その産業に加われなくなるかもしれないのです。ところが、中堅企業は自分たちだけでシステムを構築することは、なかなかできないもの。そうした専門的なソリューションを提供してくれるベンダーがあれば非常に心強いですね。
- 工藤:
トレーサビリティーについてはNECソフトでは、“PROCESSFACTORY”というトレース専門のパッケージと、NECのパッケージで私たちがサポートしている“FlexProcess”というパッケージを扱っています。“FlexProcess”は、原料の調達から製造、販売の一連のトレースができるパッケージで、販売時点で不具合が起きると原料にさかのぼってどこに問題があるかということが分かり、原料に問題があるとなると、どこに販売されたのかを追跡できます。
- 中島:
それは大変重要ですね。BSEが問題になったときにはっきりしたことですが、原因が発見できないとすべての牛を食べてはいけないということになり、被害が無意味に広がってしまう。でも今おっしゃったように、病気の原因がどこにあるかを特定できたり、機器などに故障が起きた際にその原因が分かれば、安全が確保され、ロスを極小化できるのです。これからの時代、これは欠かせない視点になります。
トレーサビリティーはサプライ・チェーン・マネジメントに通じる
- 中島:
ロスを削減するという観点から考えれば、トレーサビリティーは、サプライ・チェーン・マネジメントそのものではないでしょうか。それを導入することによってロスを減らし収益をもたらすと分かれば、投資を惜しむ経営者も少なくなると思います。逆に、トレーサビリティー・システムは透明性の高い経営を余儀なくされますから、社会的責任を果たす経営を支援する意味でも非常に意義のあるシステムだと思います。
- 工藤:
アメリカではバリューチェーン&トレーサビリティーという概念で産業が成立しています。一定基準のルールをクリアできなければ取引ができない。加えて最近ではビジネス・コンティニュイティーと言われる災害時の業務継続能力にも注目が集まっています。これは地震、災害、テロなどの非常事態に陥っても、速やかにビジネスを復活させる体制づくりです。非常時には、親会社がいくら迅速にリカバリーできても、子会社、関連会社が追随できなければビジネスとしての意味を成しません。ですから、アメリカでは、取引先がきちんと危機管理をしていることを示せなければ企業間取引をしないというところまできています。
- 中島:
しっかりとした企業システムを持たないと、サプライ・チェーンからはずされてしまうのですね。
- 工藤:
そうですね。災害が起きたときにどういう業務の順番で立ち上げるべきか、緊急時の企業活動に優先順位をつけることも経営者の新しい職責になりつつあります。私たちもアメリカの企業と提携し、ビジネス・コンティニュイティーのコンサルティングをはじめています。時代のニーズに応えるソリューションを提供することは私たちの大切な役割ですから。
ビジネスプロセス・アウトソーシングの時代コンサルティングの重要性は高まる
- 中島:
中堅企業にとっても大企業と同じ土俵で勝負をしていくためには、セキュリティーや個人情報保護、そしてトレーサビリティーの問題など新たな課題が見えてきました。なんでも大企業と同じことをするのは不可能ですから、本業に集中できる賢いアウトソーシングを考えた方がよさそうですね。
- 工藤:
そういう意味では、私たちはITのアウトソーシングはもとより、より大きな視点でのビジネスプロセス・アウトソーシングを強化していくつもりです。受注代行や社内教育、コールセンター業務などストックビジネスの運用ノウハウという視点からもお客様をバックアップしていきます。
- 中島:
それは、非常にありがたいことですね。いまお話があったストックビジネスにしても、そのためだけに中小企業がビジネスノウハウやセキュリティーの仕組みを持たなければいけないというのは大変なこと。専門分野でビジネスプロセスを受託してくれるアウトソーサーがいれば、安心して本業に注力できます。NECソフトでは、その辺についてもコンサルティングしてくれるのですか?
- 工藤:
そうしたニーズに対応するためにも、当社では中堅企業や中小企業に欠かせないシステムのコンサルティングができるITコーディネーターを数多く擁しています。現在163人ですが、その数は日本ではトップクラスです。
- 中島:
なるほど。今は、ビジネスプロセス全体のイノベーションが必要な時代。ビジネスを第三者的な視点で評価し、アドバイスできる人材を多く抱えていらっしゃるのは心強い。
- 工藤:
これからは業務革新と戦略的なアウトソーシングが重要になってきますが、業種・業務のコンサルティングに加えて、アウトソーシングのコンサルティングも強化していきます。NECソフトは、お客様以上に業種・業界のことを知り、企業経営のためのベストパートナーとして進化し続けていくつもりです。
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