対談・座談会
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バブル崩壊の後遺症から脱却するために不可欠な金融市場の情報化戦略とは


金融再編や異業種参入による競争激化といった厳しい事業環境の下、各金融機関は抜本的な組織改革をはじめ、事業形態の見直し、現場業務の効率化、ローコストオペレーションの実践など、さまざまなアプローチを見せている。
特に「金融機能強化特別措置法」成立をはじめ、ペイオフ連結全面解除などの趨勢を受け、中小・地域金融機関の再編や業務改革の機運も一層高まりつつある。
こういった状況下、金融業界が情報システムで抱えている課題や問題を払拭し、“金融業界の情報化”に大きく貢献しようとするSI企業がある。
信用組合を中心に各種情報処理システムの開発・運用に携わるサンノックシステム株式会社と、独自のアプローチでコンサルティングやソリューションを展開するNECソフト。この両社のベストプラクティスなSIやソリューションへの取り組みに注目してみたい。
- プロフィール
サンノックシステム株式会社
1981 年に設立(2003年より現在の社名に変更)され、金融分野の情報処理システム開発・運用に幅広く携わり、顧客の成長・発展を支える最適なソリューションを提供する。近年は中小・地域金融機関、特に信用組合の事務合理化におけるコンサルティングやソリューションを得意分野に、存在感のある情報処理企業を目指しており、長年培ってきたノウハウをベースに顧客ニーズを先取りした「小回りの効く情報処理サービス」、「かゆいところに手の届くシステムサポート」を展開する。基幹系だけでなく、信用リスク管理、名寄せ整備、履歴残高照会などの情報系システムの開発、さらには、ネットワーク構築から運用管理、カード発行やコールセンター機能のアウトソーシングまで、多彩なサービスを提供する。
権 五暎
Kwon Ohyeong1979 年朝鮮大学理学部卒業、サンノックシステム株式会社入社。主に金融機関の勘定系システム開発、情報系システム開発に従事。入社後、1991年まで預金オンライン、融資オンライン、情報系オンラインの開発業務に携わり、信用組合への出向を経て、自己査定を始めとする信用リスク管理システム開発に取り組む。現在、Web 系システムによる中小金融機関の事務補完システムを開発するテクニカルセンターで部長として活動中。
池島 晃
Akira Ikejima1976 年NECソフトへ入社後、府中にてACOS‐4の開発に取り組む。1985年金融部門に異動し、NEC内にて第三次オンラインシステムの開発に従事。以降、都銀、地銀のシステム開発/SIを担当。2001年NECソフトに復帰し、銀行系から証券系SI部門を担当する。2004年4月より金融ソリューション事業部長として活動中。
バブル崩壊後の影響からようやく脱しつつある金融業界の現状
権:
金融業界もバブル崩壊後の後遺症を払拭するのに、やっとここへきて落ち着いた感がありますよね。4月からペイオフ凍結も全面解除され、各金融機関の決算を見ても、いろんな経営計数が上向きに転じており、金融再生から金融改革のプログラムへ移行する段階がきたと実感できるようになりました。これまで不良債権処理に向けられていたパワーが、やっと情報システムにも振り向けられるようになり、前向きに新しいものを取り込む流れが生まれつつあります。池島:
そうですね。バブルの影響を脱したのは、本当にここ数年。その間、金融機関はずっと必死の思いで不良資産の整理に注力せざるをえない状況で、後ろ向きでした。我々ベンダーやSI企業も非常に苦しかったです。権:
金融再生プログラムの中でメガバンクを筆頭に多くの金融機関が統合され、当然、情報システムに関しても既存システムの統合という課題をこなさねばならず、非常に大きな労力が必要でした。池島:
1989年頃にいわゆる第三次オンライン導入のピークがあり、ちょうどバブル崩壊の直前で「勘定系で勝負しましょう!」という金融機関が非常に多かったと記憶しています。多大なコストをかけてシステムの機能強化に邁進していました。権:
大手は数十億から数百億、信用金庫や信用組合でも数億から数十億単位でしたね。池島:
ところがバブル崩壊後は「どうも方向性が違うぞ」と。余裕がなくなったこともありますが、勘定系じゃ勝負にならないという見直しの機運が非常に高まり、「本当に実質効果があるか」が重要視され、システム投資に対して非常に慎重になっていきました。その影響は非常に長引きましたね。権:
私たちが直接お取引している中小・地域金融機関も、大手とはレベルが違うものの、同じようにバブルの後遺症から脱皮するために、いろいろな施策をとられました。それでも、事業譲渡などを実施した金融機関もあります。一方、合併でスケールメリットを得ることで生き残りを図ったところもあります。信用金庫や信用組合は、ここ数年で数が3分の2から半数に減少するほど非常にドラスティックな動きでした。池島:
逆に言うと、今、生き残っている信用金庫や信用組合は、当時の経営判断が正しかったところばかり。それら優良な金融機関が、やっと情報システムに力を振り向けることができるようになってきたのが現状じゃないでしょうか。「基幹は共同、情報系は自営」が中小・地域金融機関の選んだ道
権:
とはいえ、結局、池島さんのご指摘通り、第三次オンラインの頃に、業務に本当に活かされた、要するにコストに見合った効果を得るシステムを手にした金融機関は、あまりなかったのではないでしょうか。池島:
現在のシステムを迎える基礎は確立できたと思います。その意味では評価できるのですが…。権:
ええ。それがバブル崩壊から立ち直る施策を進めるに際し、情報システム部分の投資抑制に働いてしまっている。大手は情報部門の人員整理をはじめ、中小は基幹である勘定系システムから撤退という選択を下しました。信用金庫は全国数ヶ所に共同センターを設け、信用組合はひとつの共同センターにまとめ、現在 178信用組合のうち約130程度が加盟しています。いずれにしろ「情報処理部門の自営維持は困難」という判断です。池島:
しかし、共同オンラインでは、独自性を出すのに非常に制限があります。権:
共同オンラインシステムは、非常に優れたシステムですが、加盟する金融機関すべてにマッチする共通性の高いシステムですから、個別の業務スタイルに合致せず、どうしても我慢を強いられるのです。池島:
そこで、従来から情報系と呼ばれる部分がクローズアップされると?権:
はい。例えば、金融当局から発表された金融検査マニュアルなどを各金融機関に取り入れるために、リスク管理や資産管理などに対して厳格に取り組まなければなりませんが、金融機関にとっては、顧客の信用格付など、従来経験したことのない非常に難しい課題が山積みされています。その業務を、勘定系システムだけではこなせないのが実状です。やはり情報系システムによるサポートがなければ難しく、人海戦術ではとても無理なのです。ペイオフ凍結全面解除を控え問題となった、顧客名簿を整理する名寄せ整備も、簡単なようで大変なんですよ。池島:
勘定系だけではとても無理だから、さまざまな事務を補完するシステムへの投資は必要です。今後は経営戦略を立てる基準としてもコンプライアンスが重要視されますから、いわゆる情報系のシステム構築に、金融機関も私たちも活路を見出していかねばなりませんね。
独自性を打ちだす武器として情報系システムの存在意識を説く
権:
ただ、同じく4月からの個人情報保護法の全面施行も、大きなインパクトがありました。池島:
私共も情報系のサポートを推進する観点から、例えば営業支援システムなどを展開しています。ところが、あるユーザーがメモリカードを紛失する事故を起こしてしまった。こうなると、せっかくのシステムも機能できなくなります。情報の可用性と機密性の両立が、現場では非常に悩ましいところですね。権:
金融機関向けガイドラインの安全管理措置等についての実務指針に、組織的、人的、技術的の3つの個人データに関する安全管理措置を施すことが明記されているように、法令遵守の観点から構築済みの情報システムをそのまま使用し続けるには課題が多く提起されてしまいましたね。池島:
その辺りの問題解決も含め、いかに金融機関にジャストフィットするソリューションを提供できるかが、課せられた最大のミッションと捉えています。権:
そうですね。今や日常生活でPC活用は当たり前にまで定着してきましたが、業務上でPCが1人1台の環境ではないところも信用金庫や信用組合では少なくありません。また、比較的低コストで実現できるオープン系のシステム構築に関しても、導入の必要性を認識しながらID、パスワードの設定、アクセス状況の監視といった運用管理の煩雑さから躊躇される場合もあります。池島:
第三次オンラインの時代を経験してきた反省から「情報系とは何か」という視点が重要視されるようになりました。現状を把握するならば、事務を補完する上で必須の情報系システムの存在意義を説き、各金融機関それぞれの独自性を打ちだす武器になること、オープン系のシステムをいかに活用できるかが勝負であることを明確に説明していく責任があるでしょう。権:
バブル崩壊後にITの開発・運用に必要な人材を引き続き確保した金融機関は、ITの活用に積極的な視点が内部に残っていますから、業務改善や新たなサービスの創出に独自性を色濃く反映していけると思います。逆に人材を放出または育成できなかったところは、恐らく「右へならえ」的な流れで情報系の強化に臨まざるを得ませんから、今後IT活用における2極化が進むでしょうね。いかに顧客の実状を把握して、必要な機能だけに絞り込んでいくか。Web系システムなら、柔軟性も拡張性もありますから、必要なものだけを選んでもらい、身の丈に合わせて拡張していきましょうという方向性の提案が重要ですね。池島:
2005年6月にNECソフトはNECの100%子会社になりました。それに伴い、役割分担ということで中小規模のお客様を大切にはぐくむことが最大の使命となります。長年培ってきた勘定系のリソースを活かしつつ、個別の金融機関ごとに、使いやすく、リーズナブルなシステムをラインナップする必要がありますから、その際にサンノックシステム社のように金融業界の最前線を熟知しているパートナーとの協業が、是が非でも必要ですね。権:
私も第一次、第二次、第三次と勘定系のシステム開発でNECさんと共に歩んできましたから、そのポテンシャルは知り尽くしているつもりです。これからも一緒に中小・地域金融機関を支えるSI企業としてコラボレーションを深化させていきましょう。
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