NECソフト

サイト内検索


現在地
ホーム > IT's VALWAY > 対談・座談会 > 新たなステージに入ったIT活用。効率化からビジネスの創造へ

対談・座談会

対談・座談会

新たなステージに入ったIT活用。効率化からビジネスの創造へ

ブックマーク  この記事をはてなブックマークに登録この記事のはてなブックマーク数 Yahoo!ブックマークに登録 newsing it! この記事を livedoor クリップに登録この記事の livedoor クリップ数 このページを行き先登録 この記事を Buzzurl に登録 この記事を del.icio.us に登録 更新日:2008/01/01

株式会社日本総合研究所 副理事長 高橋 進氏、NECソフト株式会社 代表取締役 執行役員社長 国嶋矩彦

インターネットの普及やニーズの多様化などにより、消費者の行動は大きく変化した。これから必要なITは、消費者行動の変化を見据え、グローバル対応を考えた上で、単なる効率化から増力化へ、ビジネスの創出に役立つものでなければならない。株式会社日本総合研究所 副理事長 高橋 進氏と、NECソフト株式会社 代表取締役 執行役員社長 国嶋矩彦が、新たなステージに入ったIT活用について語り合った。

プロフィール

高橋 進

株式会社日本総合研究所 副理事長。1953年生まれ。1976年に一橋大学経済学部を卒業と同時に住友銀行に入り、一貫して調査部門を歩む。この間1982年から5年間ロンドンに駐在し、国際経済の動向をウオッチしてきた。1990年に日本総合研究所の調査部主任研究員となり、1996年から調査部長、2004年理事。2005年から2年間、内閣府政策統括官(経済財政分析担当)を務める。2007年日本総合研究所に復帰し現職。NHK「日曜討論」やフジテレビ系「報道2001」、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」などにコメンテーターとして出演。新聞、雑誌などへの寄稿も多い。

国嶋矩彦

NECソフト株式会社 代表取締役 執行役員社長。1946年6月生まれ。1969年東京大学 工学部を卒業し、日本電気株式会社入社。1993年同社C&C装置システム事業部長、1996年同社第一金融システム事業部長、1999年同社C&Cネットワークシステム事業部長、2001年同社NECソリューションズEビジネスサービス事業本部長。2002年同社NECソリューションズ執行役員[台湾駐在]、2003年同社執行役員[台湾駐在]、2004年日電系統集成(中国)有限公司 董事長[北京駐在]、同年日本電気株式会社執行役員常務[北京駐在]、2006年同社執行役員常務、同年 NECソフト株式会社取締役を経て、2007年6月 NECソフト株式会社代表取締役 執行役員社長に就任。

少子化時代を前にして、いかに生産性を向上するかが大きな課題

国嶋

インターネットが当たり前になり、消費者の意識や行動は大きく変化しました。その変化の波は、B to B to Cという形で、個人を対象とする企業にまで及んでいます。したがって、消費者の行動変化を見据えたビジネスを展開しなければなりません。2008年はユビキタス社会への歩みが強まり、それはNECグループの提唱するNGN(Next Generation Network)によって、一層加速されると思われます。異業種間のダイナミックコラボレーションも促進され、当然そこにはITやネットワークの貢献する余地が拡大します。

一方、情報漏えいなどリスク管理の問題もあります。2008年4月のJ-SOX法の施行も控えて、私たちはリスク管理も含め、お客さまに真に役立つ高品質なシステムの提供を心がけてまいります。

今まで、私たちは大企業向けソリューション提供という個別SIビジネスを中心に動いてきました。しかし、中堅中小企業の方にとっては、一つひとつのシステムを構築して提供するより、SaaS(Software as a Service)などの形でサービスとして提供する方が簡単で安く利用できることも確かです。そうしたサービスを2008年度には本格化したいと考えています。私たちはWeb技術、アウトソースの技術を持っていますので、貢献できる領域が増えてきます。ユビキタス時代が到来する中で、2008年はソリューションプロバイダーとしての協力の余地がさらに増えると考えています。

高橋

これから日本は人口減少社会に入っていきますので、どうしても労働力が不足します。そうすると、経済が成長していくためには生産性を引き上げなくてはなりません。これからは、生産性をどうやって引き上げていくかが中心課題になる。生産性を引き上げるために、一つは設備投資をもっと拡大していくことですが、あまりやりすぎると生産能力ばかり大きくなり過剰設備になってしまうので限界がある。そうすると、残された手段は労働生産性(労働者一人の単位時間あたりの生産量)をどこまで上げていくかという点に尽きます。その点でIT投資が大変重要になります。

アメリカでIT投資が活発化したのは1990年代ですが、最初は投資をするけれど生産性が上がらない、ビジネスも拡大しないというITパラドックスが起こりました。ところが、2000年以降、その投資に花が開いて一気に生産性が上がりました。日本はまだITパラドックスを抱えており、個々の企業は一生懸命IT投資をしているけれど花咲くところまでいっていないように見えます。そこが日本のIT投資の課題ではないでしょうか。

たぶん2008年以降、日本全体の生産性を上げていくという課題のもとで、個々の企業が今までやってきたIT投資をいかにして本当の意味で活かすのか、そこが問われる時代になってくる。単にソフトウェアを提供するだけでなく、お客さまに全体的な本当の意味でのソリューションを継続的に提供していくことが、これからものすごく必要になってくると感じています。

ネットワーク化によって、単なる効率化から増力化、ビジネスの創出へ

国嶋

機械化という意味では、中堅中小企業でも日常の処理は相当な部分までIT化してきました。それは、従来の作業をいかに効率化するかという点に注力したからです。私たちも、「効率化するにはどうしたらいいか」をお客さまにお聞きしながらシステム化してきました。ただ、それでは双方にとってWin-Winにはなりません。私たちはSIベンダーというよりも、ソリューションプロバイダーとして、お客さまの課題を解決しなければならないからです。単なる効率化から増力化へ、新しいビジネスの創出へ、あるいは生産性の向上だけでなくて事業の拡大にITシステムがどう貢献するかという視点で考えていかなくてはなりません。

お客さまの要望にお応えするだけではなく、こういう業界ではこういう新しいシステムがすでに採用されている、あるいはこういうシステムを使うことによってお客さまはこういう実績を残しておられると提案する必要があると考えています。そのために、私どもは自信を持ってお客さまにご提供できるソリューションメニューを揃えました。お客さまと一緒になってはじめて「どうしましょう」と考えるのではなくて、様々な業種業態における課題解決に向けてNECソフトのソリューションを「VALWAY Solutions」として揃え、積極的に提案しています。

高橋

生産性を高めるにはビジネスの拡大が必要です。パイそのものが大きくなれば一人あたりの生産は大きくなります。日本の製造業や大企業はこのことを十分わかっています。自分たちでもやってきたと思います。しかし非製造業、そしてグローバル経験の少ない国内ビジネス中心の中堅中小企業は生産性への取り組みが遅れています。

ところが、アメリカでは例えばウォルマートが中小企業をネット化することで生産性を向上させています。ウォルマートはビジネスパワーを持っているので、実質的な業界標準になるネットワークが出来上がり、中小企業の生産性は格段に向上したのです。しかし、日本では残念ながら流通部門で非常に強い企業がなかったせいかもしれませんが、ネットワークが分断化されています。日本の場合、まずはネットワークをつなげていくことが必要です。

すると、SaaSは最有力の手段になるのではないでしょうか。中堅中小企業にいかにSaaSという手段でネットワークを構築してもらうか、政府も何らかの形で政策的な後押しをしなくてはいけないのではないかと考えるようになっています。また企業に対しては、単にIT投資、設備投資をするだけではなく、これを十分に活かしきる経営改革を同時に行うことが求められます。

私が特に着目しているのは、無形資産という考え方です。ブランド、特許権、もうちょっと広く考えると適切な事業プロセス、例えば顧客管理のノウハウなどはその企業が持っている一つのビジネス資産であり、無形資産です。どうも日本は、今まで無形資産を強くするという観点が弱かったのではないでしょうか。有形資産、ハードはものすごく強くするけれども、無形資産の強化が遅れていた結果として、個々の企業でITパラドックスが起きていたのではないかと思います。

今後は無形資産をどう強化していくかが、中堅中小企業の大きな課題になっていく。個々の企業だけではなくて政府のサービスもそうだと思いますが、どうやって協力してハードとソフトをバランス良く強化していくかが課題です。個々の企業がそこで強くなっていくと、日本経済全体の生産性が上がっていくはずです。

国嶋

最近はパッケージを主体としてインテグレーションするケースが多いのですが、お客さまによっては自分のところのビジネスのあり方を全面に出して、パッケージの半分以上を変更しないと使えないとおっしゃるケースが結構あります。欧米の企業では、業務そのものを標準に合わせる志向がかなり強い。最近は欧米の文化がかなり入ってきていますから、相当改善されてきましたが、まだまだそういう傾向があります。

もちろん、固有の差別化要素まで標準化する必要はありませんが、ある程度日常的な業務については見直して標準化することをお勧めしています。また、他社と差別化する部分はカスタマイズする形でご要望にお応えしています。そうすることで、基本は標準になってきますから、お互いのデータのやりとりが加速されて、異業種、少なくとも同業種間では電子データでやりとりできる世界が近づいている。

高橋

内閣府の中でITの分析を進めている時、標準化に関する一つの具体例がありました。バスは鉄道や自動車に押され、一種の斜陽産業です。しかし九州のバス会社が集まって、ITを使って共通の予約ネットワークを作りました。そうしたら、副次効果がずいぶん生まれ始めている。従来、お客さんが九州の中をバスで移動する場合は、各バス会社を予約しなければならなかったのがワンストップで予約できるようになり、利用客が増加したのです。今度はそのネットワークに旅館や他の業種、他のビジネスがつながることで、さらに利用が増えてきました。利便性が非常に高まったことが韓国に伝わり、韓国の利用者がそれを使いたいと言ってきた。特に中小企業や地域の中で孤立しがちなビジネスや業種では、ネットワーク化の効果がすごく大きいという実例です。単なる効率化ではなく、ビジネスの拡大につながる大きな武器になるのではないかと思います。

中堅中小企業にとってもグローバル対応は不可欠となった

国嶋

これだけインターネットが普及し、海外とのやりとりが盛んになってくると、グローバル化を考えなくてはなりません。日本の中だけでは、当然乗り遅れる危険性がある。グローバルな競争の中で生き残るということで、従来競争していた国内の企業間もお互いに協調するようになってきました。PASMOとSuicaはまさにいい例です。こうした事例は今後どんどん増えていき、そこにITの力は欠かせないものだと認識しています。

高橋

従来、中小企業や地方企業は東京を経由してビジネスをやっていたので、国内を向いていればよかった。しかし、これからは財政再建、地方分権という動きの中で、地域の中小企業は東京や大企業を見ていただけでは生き残れません。地域の中小企業自らが、アジアとダイレクトにつながっていくという発想が必要です。その点で、中堅中小企業のIT化の課題が見えてきます。

内閣府で実施したアンケートによると、日本の企業はITを導入するだけで終わってしまっている企業が結構ある。あるいは、IT活用が部門の中だけという企業がほとんどという結果になっています。ところが、アメリカの企業は導入するというレベルは過ぎて、部門間の連携で活用する、あるいは企業を超えて全体で活用していくというところまでいっています。

もうひとつITを活用するための鍵はCIOを置くかどうかにあると思いますが、これについてもアンケート調査ではITをせっかく導入していながらCIOを置いていない、あるいは経営者がCIOに権限を委譲していないケースが多い。ITを十二分に活用するという観点からは、まだまだ日本の企業は変えなくてはいけない点があります。ベンダー側が「こういう例がある」「こんな活用の仕方があります」と、もっともっと企業を後ろからサポートしていく、場合によっては強くアドバイスしていく必要があるのではないかと思います。

国嶋

グローバル化といったとき、対欧米と対中華圏、アジアでは様子が違うと思いますが、最近は中華圏、アジアの話題が多いのでそこに絞ってお話しします。コスト削減を図る生産基地として、中国やアジアに進出されたお客さまは非常に多い。しかし最近は人件費の上昇や購買力の増大につれ、中国や東南アジアを生産基地ではなく市場と捉える見方が広がっています。そうなると日本の企業といえどもグローバルな視野で活動しなければなりません。増大する出先の営業や現地法人と日本の本社との情報交換も活発になり、システムも当然グローバルなものが必要です。

単にネットワークをつなげばいいというだけではなく、連結決算をするなど、いろいろな面でグローバル化が必要です。今までは純粋に日本のお客さまだと思っていたら、いつの間にかグローバル対応が必要なお客さまに変貌しているといった例がいくつもあります。そういう意味で、私どもも常にグローバル化を意識して事業を推進しています。

そして、部門間を超えた利用とCIOのお話ですが、私どものお客さま、特に大企業ではCIO的な立場の方がほとんどの企業で存在するという印象があります。ただ、中堅中小企業のお客さまでは、十分な組織化が難しいこともあって、明示的にCIOを置いておられるケースはまだ少ないと思います。しかし、システムの重要性には大小変わりないわけですから、そういう点をきちんとしていかなければなりません。

私たちは最近サービス事業に注力していますが、解決策のひとつは、ある部分をアウトソースしていただくことだと考えています。情報の管理、ルール、規格は本社のCIO的立場の方がきちんと見ていく必要がありますが、その下に何十人も部下を抱える時代ではないと思うのです。そういう点は、信頼できるベンダーにアウトソースしていく時代になってきたのではないでしょうか。特にセキュリティ、ウィルスなどの脅威にさらされている現代においては、むしろそのほうが安全確実ではないかと思います。したがって、私たちはCIOをお助けするためのシステム的な提案と、実際のサービスの提供をメニュー化しています。

中堅中小企業のIT活用はネットワーク化やアウトソーシングの活用がポイント

高橋

やはり、最大のポイントはネットワーク化、共通の基盤を作っていくことだと思います。中堅中小企業はハードのネットワークを共通化することに制約があり、使いこなすという点でもCIOを設置できないなどの制約があるでしょうが、そこはアウトソースを活用することで解決できる。ネットワークはSaaS、ASPの活用でいけると思いますし、政府も政策的にもそれを後押しする方向に動きつつあります。それから、そうしたノウハウを持っている企業から積極的に学んでいく、持っている経験をうまく活かして取り込んでいくことが必要です。何よりもそれが単なる効率化だけではなく、ビジネスの拡大につながるという意識を個々の企業がもつことだと思います。IT関連業界の役目は、そのことをお客さまそれぞれに説得していくことです。そして彼らが取り組みやすい形にしていかに提供していくか、そこに尽きるのではないかという気がします。

国嶋

これまでのお話のように、今やネットワーク化が不可欠になりましたが、インターネットや専用線はそれぞれセキュリティや費用の面で課題があります。そこでNGNという、専用のネットワークでもない、インターネットでもない、使い方はインターネットと似ているけれど、よりセキュリティを強化した大容量なネットワークが登場しようとしている訳です。それから、PCにもファイルを持たない、ファイルは全部サーバーで集中管理して、使う人はそれを持ち出しても何ら影響のない、シンクライアントという技術も2008年はかなり一般化してくるでしょう。そうしたインフラストラクチャー、技術基盤という意味ではかなりの部分が使えるものになるだろうと思います。当然、我々はこれらを活用した安心、安全、快適かつ増力化につながるソリューションをお客さまにアドバイスし、システムづくりでは全面的に協力させていただきます。

高橋

標準化ができている部分については、できるだけそれを活用していく。企業経営者の方は自分の企業の強みをどうやってデータの流れの中から濾し取るかという点に集中すべきではないでしょうか。付加価値をどこで生み出すかについて集中していくことが必要だろうと思います。IT投資をするだけではなく、それを活用する仕組み、その企業独自の無形資産を作り出すためにもITが必要です。ITをうまく活用することで無形資産、ブランドやビジネスプロセスを変革することが可能になるので、是非ともITをどう使いこなすかということを、経営者の方は常に考えていただきたい。ITを導入することは、本当に第一歩に過ぎないということを申し上げたいと思います。

国嶋

ハードウェアではよく工場の生産革新を行いますが、ソフトウェアでも同じように生産革新ができるのではないかということで、NECソフトでは2年半ほど前から生産革新に取り組んでいます。それは、単に効率化というだけではなく、品質の向上を非常に大きなテーマとしています。品質の向上はお客さまにとって一番大切なことであり、それによって、私どもはお客さまから本当に信頼できるパートナーになりたいということを目指してやっています。顧客満足度No.1企業も夢ではなくなってきましたので、2008年度はぜひそこを目指したい。そのための生産革新をさらに強化して、お客さまの良きパートナー、信頼できるパートナーとして切磋琢磨してまいりたいと考えています。

PDFファイルをダウンロード

  • ※本ページに記載されている情報は掲載時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。